おおた鍼灸院・漢方薬店

熊本市南区田迎4-9-50、TEL 096-288-6861 おおた鍼灸院・漢方薬店です。
はり灸と漢方薬に代表される東洋医学について、あるいは身の回りの薬草やツボの話などを述べています。
アホウドリを追った日本人(本の紹介)
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    熊本地震の後、避難中、現実逃避目的にいろんな本を読みました。

     

    その中から、最初は約4万年前、私達日本人の祖先たちがアフリカから日本列島へ至る大移動の歴史について、次に壮大な宇宙についての本をご紹介しましたが、今回はグッと現代に近づいて、明治のころのお話しです。


    どうでもいいことではあるのですが、以前から気になっていたことがありました。

     

    それは、小笠原諸島の西ノ島の噴火や、南鳥島の近海の海底で豊富なレアメタルを発見したというニュースに接するたびに、なぜ日本の本土からあんなに離れている絶海の孤島が日本の領土なのか、という疑問です。

     

    別に実生活に関わるような問題ではないので、わざわざ調べるまでもなく放っておいたのですが、その謎がやっと解けました。

     

    結論からいうと、明治時代、外貨獲得のため(単に、強欲な人たちがお金を稼ぐためとも言えますが)羽毛の原料であるアホウドリを捕らえるために、はるばるやって来て上陸したのがことの始まりのようです。

     

    平岡昭利著 「アホウドリを追った日本人」


     

     

    著者は40年前、沖縄本島から東方360キロメートルにある南大東島での地理学の調査の際、20メートルをゆうに超える断崖絶壁に囲まれた無人島に、1900年(明治33年)になって、わざわざこの断崖絶壁をよじ登り上陸した人々が現れ、しかもそれが直線でも1200キロメートルも離れた八丈島からはるばるやって来た人々だったことを知ります。

     

    そしてジャングルが開拓されて、サトウキビ農業の島になっていた島の人々に話を聞くと、「農業のために移住した」という言葉が返ってきました。

     

    しかし本当に農業をやるためだけに、南大東島の垂直に切り立った断崖絶壁をよじ登るものだろうか、という何か釈然としないものが残ったそうです。

     

    それから10数年後、八丈島に調査に入った著者は、八丈島出身の玉置半右衛門(たまおきはんえもん)なる人物が1887年(明治20年)に鳥島に進出し、何百万羽というアホウドリを捕獲して羽毛を採取、それを外国商人に売って莫大な利益を得ていたことに着目し、この人物が日本人の南洋進出の鍵を握る人物と目星を付けて、さらに詳しく調査を進めていきました。

     

    そして、ついに明治20年ころから一攫千金を夢見る男たちが、アホウドリを求めて絶海の孤島に進出していったことを突き止めました。

     

    その範囲たるや、ミッドウェー島を含む北西ハワイ諸島や、近年問題になっているスプラトリー諸島(南沙諸島)にまで及んでいたというのですから、凄まじい勢いだったのでしょうね。

     

    ずっと前に読んだ、吉村昭の史実に基づいた小説「漂流」で、江戸時代の樽廻船で遭難して、漂流後にたどり着いた南の孤島で、アホウドリを食べて生き延び、命からがら帰還した人がいたことは知っていましたが、まさかその肉ではなく、羽毛欲しさに命がけで渡っていたとは。

     

    この危険を顧みない明治時代の一攫千金を夢見る男たちが、近い将来、レアメタルの資源大国になるかもしれない、という基礎を作っていたのですね。

    | おもしろかった本 | 09:37 | comments(0) | - |
    もしも月がなかったら(本の紹介)
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      「もしも月がなかったら」なんて、三文小説のタイトルにありそうですが、実は真面目な天体物理学の本です。


      月をめでるのにちょうどいい季節にちょっと水を差すような話で恐縮ですが、いかに、地球で生物が生まれ、ひいては人類が誕生することができたのが奇跡的だったのか、46億年という地球のふしぎな歴史について、いつの間にか理解することができる、というような本です。


       

      少し古い本ですが、著者のニール・F・カミンズは、5歳になる息子から「もしも〜だったら? 」とうるさくたずねられたことをヒントに、「もしも月がなかったら?」とか「もしも月が地球にもっと近かったら?」など、仮定に基づく思考実験を展開します。

       

      そして、読者をいかにもサイエンスフィクションを読んでいるかのような気分にさせ、知らず知らずのうちに地球の歴史から最先端の科学知識まで理解することができるように仕組でいます。


      一例をあげると、まず最初の仮定「もしも月がなかったら?」


      もしも月がなかった場合、最も影響があるのは月の引力です。


      1,月がなくても太陽の引力があるので、海にはやはり潮汐はあるようです。しかし、月の位置によって毎日違っている今日の地球の潮汐と異なり、一年を通じて常に一定で、しかもその程度は今日の地球の三分の一程度である。


      2,このように月の引力はとても強力なので、地球の自転速度にも影響を及ぼしていて、もしも月がなかったら、1日は8時間、1年は1095日である。

       

      何と目まぐるしい日々でしょうか!

       

      3,自転速度が速いので吹く風も強く、自転速度が速い今日の木星や土星(ともに1日は10時間)のように強力な風が吹き、強力なハリケーンも頻繁に発生し、最大風速は時速300キロメートル以上に達する。

       

      他にも月がないことによって、今日の地球とはいろんな違いがあるようです。

       

      これだと地球に人類が出現することができたかどうか、あるいは、そもそも進化できる生物そのものが出現できたかどうか、もし出現できても、ずいぶん違ったかたちの進化をしたかもしれないということのようです。

       

      こんなウソみたいなことが、実は起こりえたらしいのです。

       

      月ができたのは、46億年前に地球が誕生した数百万年後に、微惑星が地球に衝突したのが原因であることは、ほぼ間違いないようです。


      ところが、この原因である微惑星の出現がほんの少しズレていたら、地球に衝突しなかったかもしれなく、そうしたら月のない地球になって、今日の地球とはまるで違った世界だったようです。

       

       

       


      天体物理学の世界は難しく、簡単には手を出せませんが、本書によって、わかりやすいとまでは言えなくとも、面白く読んでいるうちに、天体物理学の世界に一歩足を踏み入れることができそうです。


      それにしても、今日の穏やかな環境の地球になることができたのが、いかに奇跡的だったのか。


      本書では最後に、「もしもオゾン層が破壊されたら」というテーマを持ってきて、この奇跡的な自然環境である今日の地球を守るために、重要な警告をして締めくくっています。

       

       

       

      3億5千万年以上にわたって、太陽からの致命的な紫外線放射から生物を守ってきたオゾン層は、いま人工的につくられたフロンガスによって破壊されています。

       

      フロンは成層圏まで上昇するのに40年から100年以上もかかるので、フロンの放出を止めても何十年もの間、オゾン層は破壊され続けることになるようです。

       

      そしてオゾン層が破壊され、紫外線の量が増えると森林が枯死したり、食物連鎖が崩壊したり、何百万もの人が死亡、あるいは何億人もが病気で苦しむようになると予想しています。

       

      一方で、異常気象は増大する可能性が大いにあるようです。

       

      われわれ地球人の生命に直結する問題であり、フロンガスに対してはいろいろ対策が講じられているようですが、将来的にオゾン層の破壊が進まないよう、万全の対策が完全に履行されることを祈るばかりです。

      | おもしろかった本 | 09:17 | comments(0) | - |
      日本人はどこから来たのか?(本の紹介)
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        地震から4ヶ月以上たった最近では、ずい分気分的にも落ち着いてきたとは言うものの、大きな災害を経験すると、えも言われぬ喪失感が体の奥底に沈殿しているかのように存在します。

         

        その状態から現実逃避するには、現実の世界からまるっきり離れた世界、例えば遠い宇宙のような壮大なものや、あるいは時間的に現代からうんと離れた時代に目を向けると、一時的にせよ案外気分が落ち着くことが分かりました。

         

        それで避難している間に、いろいろな分野の書籍を読んでみたのですが、その中から面白そうなものをピックアップしてご紹介したいと思います。

         

        今回は時間を何万年も遡って「日本人はどこから来たのか?」という本です。

         

        著者は国立科学博物館人類史研究グループ長、海部陽介さんです。

         

         

        この本で海部さんは、従来、欧米の研究者の間で定説になっている、アフリカを出た人類は、中東から海岸沿いに広がって日本を含む東アジアに到達したという「海岸移住説」に疑問を持ち、新たな学説を披露しています。

         

        それは、
        1,世界各地の遺跡の年代調査比較
        2,DNA分析
        3,石器の比較研究
        などを駆使して、

         

        約10万年前、アフリカを出た私たちの祖先は、4万8000年前ヒマラヤ山脈を挟んで南北に別れて拡散して、1万年後に東アジアで再会する。

         

        そして私たち日本人の祖先は、それからさらに


        …鮮半島から対馬を経て北部九州に至る「対馬ルート」
        台湾〜琉球列島をアイランドホッピングして北上する「沖縄ルート」
        サハリンを通って北海道へと南下する「北海道ルート」


        これら3つのルートを通って、日本列島に移入して来た。

         

        という、祖先たちのアフリカから日本列島へ至る大移動の歴史を描き出すというものです。

         

        これら大昔の人類の移住を、遺跡の調査や科学を駆使して、当時の生活様式や気候、地形の違い(人類が移動した数万年前は氷期で、海面は現代よりも80〜130メートル以上も低かった、要するに現代より陸地が広く、島によっては陸続きだったところもある)も交えて解説されているので、その時代の様子をリアルに思い浮かべることができます。


        それにしても、恥ずかしながら「目から鱗」だったのは、現代人であるホモ・サピエンスの出現が、以前学校で教わったように、世界のそれぞれの地域で、原人から旧人、さらに現代人へと進化していったのではないということです。

         

        世界中の現代人のDNAを比較すると、その共通祖先は20万年前頃のアフリカにたどれるそうです。

         

        要するに、ボクたちは北京原人やジャワ原人やネアンデルタール人の子孫ではなく、20万年前頃にアフリカの旧人から進化して世界中に広がったホモ・サピエンスの子孫だそうです。

         

        核のゴミが安全になるには10万年ほどかかるそうですが、10万年前といえば、私たちの祖先が、やっとアフリカを出発したころなのですねぇ〜。

        | おもしろかった本 | 21:04 | comments(0) | - |
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